深夜一時、後輩からスクリーンショットが送られてきた。
LINEの入力欄に、二千字近い文章が入ってる。まだ送信していない下書き。読み進めると、謝罪と、言い訳と、それでも好きですという告白が全部ぎゅうぎゅうに詰まってた。
私はすぐ電話をかけた。三コール目で出た彼女の声が、もう震えてる。
送らないで、とだけ言った。理由を話したのは、そのあと三十分かけて。
相手は獅子座の男性。二週間前に、ごめん今はそういうつもりじゃない、と言われたばかりだった。
あの長文、もし送っていたら完全に終わってたと思う。いま彼女はその人と付き合ってる。八か月かかったけど。
獅子座男性の脈なしは、冷たくならない
態度は変わらないのに、中身だけ抜けている
振られたあとも、彼らはわりと普通に接してくる。挨拶するし、笑うし、仕事も手伝う。無視されるほうがまだ分かりやすいのに、と思うくらい表面が変わらない。
獅子座の男性は、嫌われる自分に耐えられない。だから関係を切らずに、温度だけ下げる。優しさというより、自己防衛が半分入ってるんじゃないかな。
そのせいで、当事者は延々と判定できないまま宙づりになる。しんどい期間って、たいていここ。
自慢が来なくなったら、席を外されている
判定に使えるのは、彼が報告してくるかどうか。
獅子座は、うまくいったことを誰かに言いたくて仕方ない生き物。プレゼンが通った、車を買った、体重が落ちた。関心のある相手には、聞かれてないのに勝手に話してくる。
その報告がぴたっと止まったら、観客席から名前が消えてる。
逆に言えば、脈なし宣言のあとも自慢だけは飛んでくる場合、彼はまだこちらの反応を必要としてる。ここが一番の望み。
逆転できる脈なしと、できない脈なし
熱が下がっただけなら、また上がる
獅子座の関心は、炭じゃなくて紙に近い。燃え上がるのが速くて、消えるのも速い。ただ、紙は何枚でもある。
一度冷めた相手に二度と火がつかない、みたいな星座ではない。むしろ再燃率は高いほう。三か月前に興味をなくした相手に、突然また向き直ることが普通に起きる。
条件がひとつあって、こちらが前と同じままだと燃えない。同じ紙はもう燃え尽きてるから。
プライドを人前で折られた記憶があると、重い
問題はこっち。彼が恥をかいた場面に、こちらが立ち会ってしまった場合。
みんなの前でミスを指摘した、彼の話を笑ってしまった、告白を第三者に漏らされた。こういう記憶は獅子座の中で長く残る。
本人は怒らない。むしろ笑って済ませる。なのに、その日を境に距離が一定になる。ちくっとした痛みを、彼らは何年も持ってる。
この場合、時間だけが薬になる。半年から一年、こちらは静かにしておくしかない。
他に光を当てたい人がいるとき
獅子座は、二人を同時に照らさない。誰かに夢中になってる期間は、こちらが何をやっても届かない。
体感だと、その熱は三か月から半年で落ちる。落ちたあと、意外なほどあっさり視線が戻ってくることがある。そういうところ、ちょっとずるいと思う
だから、いま届かないのを実力不足だと思わなくていい。単純に照明が別の方向を向いてるだけの時期がある。
熱が下がった理由は、だいたい三つのどれか
追いすぎて、追う役目を奪ってしまった
一番多いのがこれ。獅子座の男性は、自分から取りにいく過程が好き。
毎日連絡した、誘いに全部応じた、予定を空けて待った。誠実にやっただけなのに、彼の側では、狩りが終わった、という処理になる。理不尽だよね。正直言うと私もこの説明を初めて聞いたときはイラっとした。
好意を隠せという話じゃない。渡す量を、彼が動いた分に合わせるということ。
反応を返さなすぎて、興味なしと読まれた
真逆のパターンも同じくらいある。
獅子座は反応で自分の価値を測る人たち。褒めても無表情、話しても短い返事、誘っても迷う素振り。謙虚さのつもりでやったことが、彼の側では拒絶として届く。
心理学の通信講座で好意の返報性を扱ったとき、私はこれを思い出してしゅんとなった。人は、自分に好意を向けてくれる相手を好きになる。返さないことは、静かな否定として機能してしまう。
予測できる相手になった
何を言っても同じ反応が返る。誘えば必ず来る。褒めれば必ず喜ぶ。
獅子座は、退屈にめっぽう弱い。飽きたわけじゃなくて、こちらの新しい面が見えなくなっただけ。
逆転の余地があるとしたら、じつはここが一番大きい。見せていない面が残っているなら、火はまだつく。
逆転の起点は、彼の視界から一度外れること
消えるんじゃなく、位置を変える
完全に連絡を絶つのは、獅子座相手だと危ない。彼らは追いかけてこない。去った人を引き止めない性質があるから、そのまま本当に終わる。
やるのは、こちらから発信するのをやめるだけ。会えば普通に話す。笑う。ただ、話題を提供する役をおりる。
彼にとって、いつも自分の話を聞いてくれた人の反応が薄くなる。この状態が、いちばん効く。
期間はだいたい三週間
一週間だと短すぎて気づかれない。二か月置くと、彼の中でこちらの席が撤去される。
その間にやることは、彼と関係ない場所で生活を膨らませること。習い事でも、旅行でも、資格でもいい。獅子座は、自分の外側に世界を持ってる人に弱いから。
待ってる時間って、ざらっとして落ち着かない。分かってても連絡したくなる。あの三週間を耐えられるかどうかが、たぶん分岐点。
戻りかけた熱を、逃さない受け方
同じ曲をもう一度かけない
再会したとき、以前と同じ話し方に戻すのはもったいない。
彼はその曲をもう聴いた。針を同じ溝に落としても、最後まで展開を知ってる。
新しい話題を持っていく。始めた趣味、行った場所、変えた髪型、仕事で担当が変わった話。中身より、知らない情報が更新されていることのほうが効く。
獅子座男性の脈なしを覆すのは、努力の量じゃなくて、更新の速さ。
彼の得意分野で、一度だけ頼る
これは相当効く。頼られると、獅子座は断れない。
選ぶのは、彼が自信を持ってる領域。仕事の判断でも、車でも、店選びでもいい。重すぎない相談を、ひとつだけ。
そして助けてもらったあと、成果をきちんと報告する。あのアドバイスのおかげで通りました、まで届けると、彼の中で自分が役に立った記憶が固定される。
恋愛感情より先に、有能感が戻る。獅子座はその順番で火がつくことが多い。
第三者からの評価が、本人の目より効く
本人に褒められるより、他人が褒めていたという情報のほうが強い。
逆も同じで、こちらのことを共通の知人が評価してるのを彼が耳にすると、評価が上書きされる。獅子座は周囲の視線を通して物を見る癖があるから。
自分から仕込むと不自然になるので、これは狙わなくていい。ただ、彼の友人と普通に仲良くしておくのは無駄にならない。
これをやると、二度と戻らない
長文の釈明
冒頭の後輩を止めたのは、これが理由。
獅子座は、重さを嫌う。というより、責められている感覚に敏感すぎる。長い文章は、内容がどれだけ謙虚でも、圧として受信される。
言いたいことがあるなら、二行。それ以上は、彼の中でこちらの印象が変わってから。
嫉妬を狙った演出
他の男性の影をちらつかせるやつ。獅子座には効くと思われがちだけど、私は反対。
彼らは競争に強い。強すぎて、勝ちにいく前に相手を値踏みする。そして、自分が本気を出すほどの相手かどうかを冷静に判断してしまう。
本当に効くのは、恋愛と関係ないところで生き生きしてる姿。あれのほうが、よっぽど焦る。
二度目の告白を急ぐ
熱が戻りかけた瞬間、確認したくなる。気持ちは分かる。でも、ここで押すと元に戻る。
獅子座は、自分で決めた形でしか動かない。告白させる側でいるほうがいい。
サインは分かりやすくて、誘いが向こうから来る、名前を呼ぶ回数が増える、二人になれる場面を作りにくる。この三つが揃ったら、あとは黙って待てば向こうが言う。
私が見た、二つの結末
八か月かかった後輩の話
彼女は長文を消して、三週間まったく連絡しなかった。その間にダイビングの資格を取りにいった。理由を聞いたら、彼と関係ない予定を入れたかったから、とのこと。
再会したのは飲み会で、日焼けして戻ってきた彼女に、彼のほうから、何かあった?と聞いてきたらしい。
そこから半年、彼女は自分から誘わなかった。誘われたときだけ行った。ときどき断った。
八か月目、彼が言ったのは、前と同じ人だと思ってたら全然違ったから、という不器用な告白だったそうだ。
逆転しなかったほうのケース
同じ時期、別の知人も獅子座の男性に振られていた。彼女がやったのは、毎週の食事の誘いと、こまめな連絡と、彼の趣味を全部覚えること。誠実だったし、努力量では後輩の何倍もあった。
半年後、彼は別の人と付き合った。
何が違ったのか、いまでも考える。私の見立てだと、彼女は彼に合わせすぎて、自分の情報が更新されなくなってた。彼の側から見ると、毎回同じ景色。
一生懸命だったのに報われないのを見てるのは、けっこうきつかった。ぐしゃっとした気持ちになって、その日は何も言えなかった。
期限は半年でいい
獅子座は、決めるのが速い星座。半年動きがないなら、その熱はもう別の場所にある。
残酷に聞こえるかもしれないけど、期限を切っておくほうが強く動ける。戻らなかったときに、自分を責めずに済むから。
それに、期限を持ってる人ほど余裕が出る。その余裕が彼には眩しく見える。皮肉なもので、そこで急に振り向かれたりする。
次に彼と会ったとき、去年の話じゃなく、先週の話ができるかどうか。逆転の入り口は、たぶんそのへんにある。
