獅子座男性が弱みを見せにくいのは、破れない毛皮をまとっているから
ネメアの獅子の毛皮は、外からは刃が通らない
獅子座のもとになったのは、ギリシャ神話のネメアの獅子だといわれています。
その金色の毛皮は、矢も剣もはね返すほど固かった。
英雄ヘラクレスでさえ、武器では歯が立たなかったとか。
最後は素手で組みついて倒したものの、今度は毛皮をはぐことができない。
どんな刃物も通らなかったその皮を切り裂けたのは、獅子自身の爪だけだったそうです。
獅子座の男性の強がりは、このネメアの毛皮によく似ています。
外からどれだけつついても、びくともしない。
大丈夫?と聞けば、返ってくるのは、よゆう、の三文字。
心配すればするほど、毛皮はつやつやと光を増していく。
獅子座の毛皮は、外からは破れない。
開けられるのは、獅子座自身の爪だけ。
獅子座がいちばん怖いのは、見てもらえなくなること
占星術で獅子座と縁が深いのは、第五ハウス。
恋愛、遊び、自己表現、それに子ども心をあらわす場所です。
獅子座の男性の中には、いつまでも、見て見て、と手を振る少年が住んでいる。
その少年にとって、いちばんつらいのは、負けることではありません。
誰にも見てもらえなくなること。
がんばっても気づかれない。
そこにいるのに、いない人みたいに扱われる。
獅子座の弱みがうずきだすのは、たいていそういう場面です。
しかも獅子座は、頼られている自分や輝いている自分でいるときに、心から自分を好きでいられる。
その足場がぐらついていると打ち明けるのは、自分の価値ごと揺れていると認めるようなもの。
強がりの毛皮が分厚いのは、それだけ中身がやわらかい証拠なんです。
獅子座男性の弱みは、こんな形でこぼれ出る
毛皮の内側がうずいているとき、獅子座は、弱音とはまるで別の顔をして現れます。
俺、すごくない?は、ほめてより助けてに近い
今日の俺、かなりがんばったくない?
この企画、俺じゃなきゃ思いつかないでしょ。
獅子座の男性がこういう言葉を連発しはじめたら、ちょっとだけ耳をすませてほしい。
ふだんの自慢なら、もっと余裕たっぷりで、話のついでに出てくる程度。
それが一日に何度も、しかも確かめるような語尾で届くときは、少し事情がちがいます。
足もとがおぼつかないから、ほめ言葉でつっかえ棒をしている状態。
獅子座の弱音は、ほめて、の形をしている。
大きな猫になって、膝に頭をのせてくる
ライオンも、生き物としてはネコ科の仲間。
獅子座の男性も、弱ってくると、なぜか大きな猫みたいになります。
ソファで本を読んでいると、無言でごろんと横になって、膝に頭をのせてくる。
五分だけ、こうしてていい?
いつもは先に立って歩く人が、今日は妙にくっついてきて離れない。
猫がお腹を見せて寝ころぶのは、気を許している相手の前だけだといわれます。
急所をさらしても平気なくらい、安心しているサイン。
獅子座の甘えも、それとよく似ている。
わがままや子どもっぽさに見えても、実は、あなたの前でだけ急所を出しているのかもしれない。
いつもの武勇伝を、盛らずに話しはじめる
獅子座の男性は、話を盛るのがうまい。
営業で大口の契約を取った話や、学生時代にサッカーで決めたゴールの話。
聞くたびに、少しずつ壮大になっていく(笑)
場を楽しませたいサービス精神の表れなんですよね。
その彼が、ある日、同じ話を盛らずに話しはじめる。
実はあの契約、先輩に助けてもらってたんだよね。
あのゴールも、ほとんどまぐれで。
話から金色の飾りが落ちて、素顔の失敗談が出てきたら。
それは、あなたの前でだけ見せる、毛皮の内側の地肌です。
作りかけのものを、こっそり見せてくる
第五ハウスがつかさどるものには、創作も含まれています。
獅子座にとって、自分が作ったものは、自分そのものに近い。
趣味で書いている曲、練習中の料理、まだ誰にも見せていない企画書。
仕上がったものなら、胸を張って披露するのが獅子座です。
だからこそ、未完成のものを、どう思う?と差し出してくるのは、かなりの勇気がいること。
出来の悪い部分ごと見せるのは、自分の弱いところを見せるのと、ほとんど同じなんです。
感想は、直すべき点より先に、気に入ったところをひとつ。
それだけで、彼はまた続きを作れるようになる。
熱が出ると、遺言みたいなLINEが届く
これは完全に、姉の夫の話です。
獅子座の義兄は、ふだんは声が大きくて、親戚の集まりでは真っ先に場を仕切る人。
それが熱を出すと、別人になるらしい。
三十七度五分で、今までありがとう、みたいなLINEを姉に送ってくるんだとか。
(大げさすぎるでしょ…笑)
姉は毎回スクショを撮ってから、おかゆを作りに行くそうです。
笑い話みたいだけど、これも立派な弱みの見せ方。
体が弱ったときは、毛皮を着ている余力もなくなる。
そのとき誰に連絡してくるかで、彼の中の順位がわりとはっきり見えてしまうんです。
獅子座男性が弱みを見せるのは、どんな相手か
王冠を置けるのは、自分を値踏みしない人の前だけ
獅子座の男性は、目に見えない王冠をかぶって暮らしています。
職場でも、友達の前でも、家族の前でさえ、かぶったまま。
それを外してテーブルに置ける相手は、一人か二人いればいいほう。
共通しているのは、彼を値踏みしない人だという点なんです。
成績がいいから好き、頼りになるから好き。
そういう条件つきの目で見てこない人の前でだけ、王冠はそっと外れる。
恋人がその一人に選ばれたなら、ほぼ本命と思っていい。
友達なら、親友と呼べる距離です。
プラットフォール効果で見ると、弱さは魅力を削らない
心理学者のエリオット・アロンソンが行った、ちょっと面白い実験があります。
クイズに次々と正解する優秀な人が、最後にうっかりコーヒーをこぼしてしまう。
その様子を録音で聞いた人たちは、ドジを踏んだあとのほうが、その人に好感を抱いたそうです。
デキる人の小さなドジが、かえって魅力を上げる。
プラットフォール効果と呼ばれる現象です。
獅子座の男性ほど、この現象を味方につけやすい人はいません。
ふだんが頼もしいぶん、ちらっと見えた弱さが、ぐっと人間くさい魅力に変わるから。
本人は、弱みを見せたら幻滅される、と思いこんでいることが多いんですけどね。
まぁ、弱みを見せられた側がキュンとしてしまうのは、よくある話。
獅子座の彼のほめて攻撃を、はいはいで流した夜
営業成績のボードが外された春
二十代の終わりに付き合っていた彼は、車のディーラーの営業マンでした。
店の壁には営業成績のボードが貼られていて、いちばん上には、たいてい彼の名前。
お客さんからも同僚からも、エースと呼ばれていた人です。
その年の春、店長が替わりました。
新しい店長の方針で、個人の順位を貼り出すのをやめることになり、ボードは壁から外された。
チームで売るやり方に変わって、彼に回ってくる大きな商談も減っていったそうです。
そのころから、夜になると、彼からこんなLINEが届くようになりました。
今日の俺、何回ほめられたと思う?
新人の接客フォローした俺、神じゃない?
最初は笑って返していたけど、毎晩となると、正直言って、ちょっと面倒になってくる。
ある夜、眠くて、つい送ってしまったんです。
はいはい、神、神。おやすみ。
寝ている猫のスタンプを添えて。
既読はついたのに、結局その夜、返事は来ませんでした(泣)
膝の上の五分間と、なでまわしすぎた私
次の日の夜、彼はうちに来るなり、何も言わずにソファに寝ころびました。
ごろん。
そのまま私の膝に頭をのせて、天井を見上げている。
五分だけ、こうしてていい?
(え、どうしたの、急に…)
しばらくして、彼がぽつりとこぼしたんです。
最近さ、店で俺、いてもいなくても同じなんだよね。
ボードがなくなって、はじめてわかった。
俺、誰かに見てもらえてないと、がんばり方がわかんないのかも。
まさか、あのエースの口から、そんな言葉が出てくるなんて。
胸の奥が、ずきんと鳴りました。
あの時の、今日の俺何回ほめられたと思う?は、自慢じゃなかった。
誰も数えてくれなくなった自分の点数を、私に数えてほしかっただけ。
それを、はいはい、で流したんだ、私。
焦った私は、そこから質問を連発しました。
店長に話してみたら?
ほかの店舗に移る道はないの?
いっそ転職も考えたら?
三つ目を言い終わるより早く、彼は膝からぱっと起き上がった。
もういいよ。今の話、忘れて。
猫を飼ったことのある人なら、ぴんと来るかもしれません。
お腹を見せて寝ころんだ猫を、うれしくなってなでまわすと、突然がぶっと噛まれる。
あの夜の私は、まさにそれをやってしまったんです。
翌朝、彼が言い出した十人のホームパーティー
気まずいまま迎えた翌朝。
コーヒーを淹れていると、彼が急に宣言しました。
決めた。来月、うちでホームパーティーやる。十人呼ぶ。料理は全部俺が作る。
(……え、昨日の今日で?)
オーストリア出身の精神科医、アルフレッド・アドラーが唱えた補償という考え方があります。
劣等感を覚えた人が、それを埋め合わせようと、別の場面で力を発揮しようとする心の働きのこと。
獅子座の男性は、この補償がとても派手に出やすい。
弱みを見せた翌日に、大きな企画をぶち上げたり、豪華なプレゼントを用意したり。
ぐらついた王冠を、自分の手でかぶり直しにいくんです。
あの十人パーティーも、彼なりの王冠のかぶり直しだったんでしょう。
当日、エプロン姿で唐揚げを山ほど揚げている彼を見ながら、目の奥がじんと熱くなった。
獅子座男性が弱みを見せたときの受け止め方
お腹を見せた猫は、なでまわさない
獅子座が弱みを見せたら、まずは、見せてくれたこと自体を静かに受け取る。
質問は、ひとつまで。
アドバイスは、求められるまでポケットにしまっておく。
店長に話したら?転職したら?と三連発した私は、猫のお腹を両手でわしゃわしゃしたのと同じ。
(反省しかない…はぁ…)
うん、そっか、話してくれてうれしい。
それくらいの短い返事のほうが、毛皮の内側には、ずっと深くしみこんでいきます。
お腹を見せた猫は、なでまわさない。
なでる手を止めて、同じ部屋でのんびりしているくらいが、ちょうどいい。
弱音を吐けたことを、かっこいいと言葉にする
弱みを見せたあと、獅子座の男性は心の中でこっそり自分を減点しています。
かっこ悪いところを見せた、幻滅されたかもしれない。
その減点を、あなたの言葉で塗り替えてあげてほしい。
ああいうこと、ちゃんと言えるのってかっこいいと思う。
話してくれて、なんか前より好きになった。
さっきのプラットフォール効果を、本人にこっそり教えてあげる感じです。
弱さを見せた自分まで肯定されると、獅子座の自信は、条件つきから少しずつ自由になっていく。
ほめられるのが大好きな獅子座の胸に、深く沁みるほめ言葉は、きっとこれ。
次の週は、彼の得意なことでひとつ頼る
弱みを見せた獅子座が次に欲しくなるのは、もう一度、頼られる場面。
十人パーティーのとき、私は準備を止めなかった。
かわりに、唐揚げの下味を一緒にもみこむ係を買って出たんです。
そのうえで翌週、職場の飲み会の幹事を押しつけられて困っている、と彼に相談しました。
店選びから段取りまで、彼は目を輝かせて仕切ってくれた。
頼られることで、傾いていた王冠が、少しずつ元の角度に戻っていくのがわかりました。
ポイントは、本当に彼が得意なことを選ぶこと。
獅子座は、見え透いたお世辞の頼みごとには、意外とすぐ気づきますから。
弱みを見せてくれない獅子座男性との向き合い方
毛皮は、こじ開けるものじゃない
冒頭の相談のなかに、一度も弱音を聞いたことがない、というものがありました。
私って、信用されてないのかな、と。
ネメアの獅子の話を思い出してほしいんです。
あの毛皮は、外からどんな刃を当てても切れなかった。
何か隠してない?本当は疲れてるでしょ?と問い詰めるのは、剣で毛皮に切りつけるのと同じ。
獅子座は、ますます毛を逆立てるだけです。
できるのは、彼が自分の爪で毛皮を開けたくなるような空気を、日々の中に置いておくこと。
彼の成果より、彼そのものに向けた言葉を、ふだんから少しずつ手渡しておく。
今日の服、似合ってるね。
その笑い方、好きだな。
成績とは関係のないところを、見てもらえている。
そう感じたとき、獅子座の爪は、ようやく内側から動きだします。
見せないまま穏やかに続いていく関係も、もちろんある。
弱音の回数が、そのまま愛情の量を表すわけではありません。
王の星レグルスも、ときどき月に隠れる
獅子座でいちばん明るい一等星は、レグルス。
ラテン語で、小さな王という意味です。
この星は、太陽の通り道である黄道のすぐそばで光っている。
そのため、月がレグルスの前を横切って、姿を隠してしまう星食が起こることがあります。
王の星でさえ、しばらく見えなくなる夜があるんです。
それでも月が通り過ぎれば、何事もなかったように、また同じ場所で光りだす。
弱みを見せる獅子座も、どこかそれに似ている。
隠れている時間を知っているのは、夜空を見上げる人の中でも、ほんのひと握り。
あの春の私は、それに気づくまでに、はいはい、をひとつ挟んでしまったけれど。
膝の上のずっしりした重みは、今でもよく覚えています。
