6歳下の後輩が入ってきた月、彼の口数が明らかに減った。
私は勝手に、あ、来たな、と思った。可愛いし、よく笑うし、素直だし。そりゃそうだよね、と一人で納得していた。
3ヶ月後、彼が本当に気にかけていたのは別の人だった。しかも、もっと年下の、まったく目立たないタイプの子。
えっ、そっち。
私の見る目、どうなってるの…
乙女座の男性が年下に惹かれる条件、思っていたのと全然違った。
若さそのものには、あまり反応しない
ここを外すと、ずっと的外れな努力をすることになる。私はしばらく外していた。
見るのは年齢ではなく、伸びしろ
彼らは人を育てたい欲求を持っている。教えたことを吸収して、変わっていく姿に惹かれる。
だから、若いかどうかより、学ぼうとしているかどうか。年下でも、何も聞かない人には興味を示さない。
乙女座が年下に惹かれるのは、可愛さではなく伸びる過程を見られるから。
あの目立たない子は、彼の助言を毎回メモしていた。そして実行していた。それだけ。それが全部だった。
無防備さを、危なっかしいと感じる
ここは少し複雑な話。
彼らは放っておけない相手に手を出したくなる。生活が雑、体調管理ができていない、危機感がない。そういう部分に、世話を焼く動機が生まれる。
ただし、度を超えると引く。だらしなさと、少し抜けているのは別物。この線引きが厳しい。
年上女性を避けているわけでもない
誤解されやすいので書いておく。彼らは年上にも普通に惹かれる。
条件は同じ。話が通じるか、清潔か、約束を守るか。年齢は判定項目に入っていない。
年下が好きだと言われるのは、教える関係になりやすいからで、年齢そのものを求めているわけじゃなかった。
年下として、彼に好かれやすい振る舞い
教わったことを、実行して報告する
これがいちばん効く。たぶん唯一の正解に近い。
教えてもらったやり方を試して、こうなりました、と伝える。それだけ。
心理学の講座で、人は自分が手をかけた相手に愛着を持つという話を扱った。乙女座の男性には、これが強く働く。投じた時間が結果につながると、その相手が特別になる。
あの子がやっていたのは、本当にこれだけだった。地味すぎて、私は見逃していた。
分からないことを、素直に聞く
知ったかぶりを、彼らは一発で見抜く。そして静かに評価を下げる。
分かりません、教えてください。この一言が言える人を、彼らは信用する。若さの特権として許されるのは、無知ではなく素直さのほう。
生活の基本を、整えておく
爪、靴、鞄の中、部屋の状態、食事の時間。
彼らはここを見る。おしゃれである必要はない。清潔で、規則正しければいい。
年下だから多少雑でもいい、は通用しない。むしろ、若いのにちゃんとしている点に驚かれるほうが強い。
甘え方に、限度を持つ
頼るのはいい。全部やってもらおうとすると、彼は疲れる。
自分でやってみて、それでも分からないところだけ聞く。この順番を守る人に、彼らは何度でも手を貸す。
私の知っている乙女座の男性は全員、努力の形跡に反応していた。結果じゃなくて、やってみた跡。
年下と付き合うとき、彼の側に起きること
責任感が、重くなりすぎる
守らなければ、導かなければ、と思い込む。
それが彼を疲れさせる場合がある。うちの場合、私が何かを決められないでいると、彼は全部の選択肢を調べはじめた。そこまでしなくていいのに。
自分で決めます、と言うと、彼はホッとした顔をした。任せきりにしないほうが、関係が長持ちする。
言えなくなる瞬間がある
年上として頼られている立場だと、弱音を吐けなくなる。
彼が熱を出しているのに、私に心配をかけまいとして黙っていたことがある。気づいたのは、顔色を見た同僚からの連絡だった。
年下側から、しんどいときは言ってほしいと伝えておく。これは早めにやったほうがいい。
教える関係から、抜け出す必要がある
ずっと教わる側でいると、対等になれない。
私はある時期から、彼が知らない分野を持つようにした。仕事とは関係ない趣味。そこでは私が教える側になる。
彼は驚くほど素直に学んだ。そして、その時間を楽しんでいた。関係の形が少し変わった気がする。
年齢差で、実際にぶつかった部分
金銭感覚が、揃わない
彼のほうが収入が多く、計画的だった。私は雑だった。
奢られる回数が増えて、そのうち負い目が溜まった。私は言えずにいた。彼も気づいていなかった。
ある日こぼしたら、彼は驚いて、じゃあルールを決めましょう、と言った。話し合って、割合を決めた。数字にすると、彼は納得する。あれで楽になった。
将来の話の、速度が違う
彼は5年先の生活を考えている。私はまだ来年の話もできていなかった。
急かされているように感じて、一度喧嘩した。彼にそのつもりはなかった。ただ、考えていることを共有したかっただけらしい。
温度差を、そのまま伝えた。今はまだ決められない、と。彼は、分かりました、と言って待った。理由を説明すれば、彼は待てる人だった。
友人関係の、文化が違う
私の友人たちは騒がしかった。彼はその場に混ざれなかった。
無理に連れて行くのをやめた。彼は静かな集まりなら普通に楽しむ。合わない場に引っ張り出すのは、お互いにとって消耗だった。
長く続けるために、気づいたこと
可愛いだけの位置に、留まらない
最初は年下として可愛がられる。それは楽だし、心地いい。
でも、その位置に居続けると、彼はいつか疲れる。相談できる相手であることのほうが、最終的には強い。
私が仕事の判断に迷ったとき、彼に相談するのをやめて、自分で決めて報告するようにした。彼は、いいと思います、とだけ言った。あの短い返事が、なんだか嬉しかった。
年齢を、言い訳にしない
まだ若いから、で済ませると、彼の中で評価が止まる。
彼らは成長を見ている。去年より整っているか、教えたことが定着しているか。その変化に反応する人たち。
年上として立ててあげる場面を、作る
駆け引きではなく、事実として頼る。彼が得意な分野で、本当に助けてもらう。
その代わり、こちらが得意な場所では引っ張る。役割が偏らないほうが、彼も安心するらしい。
あの目立たない後輩は、今も彼にメモを見せているらしい。
仕事の話。それだけ。彼女には別に彼氏がいる。
私はというと、去年から彼に料理を教えている。包丁の持ち方から。あの几帳面な人が、私の言うことを素直に聞いている姿は、ちょっと面白い。
